デジタルツインとブロックチェーンが重要な理由

Gartnerが発表する「戦略的テクノロジ・トレンド トップ10」において、注目すべきテクノロジーとして2年連続で名が挙がって以来、さまざまな業界で導入が進められている「デジタルツイン」技術。

不動産業界でも広く活用されはじめており、近い将来、デジタルツインとブロックチェーンを組み合わせた「デジタルツイン不動産」が革命を起こすと言われています。

今回は、そんなデジタルツインとブロックチェーン技術を軸とした、不動産業界の未来を紹介していきましょう。

目次


デジタルツインとは?

デジタルツインとは、現実空間にある情報をIoT(Internet of Things)などで収集し、送信されたデータを使ってデジタル空間で現実空間を忠実に再現する技術です。その特徴は大きく分けて以下のとおりです。

デジタルツインは、現実世界に存在する物体やシステム(例:建物、製品、機械、プロセス)を、デジタルで再現することです。つまり、現実のオブジェクトやプロセスに対応するデジタル的な対応物を作成します。

対応する現実のものとデジタル空間のものをリアルタイムで連携します。センサーやデバイスを通じて収集されたデータ(例:温度、湿度、位置情報)をデジタルツインに送り、その情報を使って現実の状態を反映。これにより、物理的なものの状態をデジタルで把握できるようになります。

物理的なものの動きなどをデジタル空間でシミュレーションし、将来の状態や挙動を予測するためにも活用可能。事前に結果を把握することで、問題を予防したり、効率を向上させたり、修理や保守の計画を最適化したりできます。

現実世界とデジタル世界においてリアルタイムでデータを比較し、予期せぬ異常を検出することができます。異常が検出された場合、適切な措置を取るために現実のシステムへも介入が可能です。


デジタルツインとメタバースの違い

現実世界をデジタル世界に再現する「メタバース」とデジタルツインは、両方ともデジタル技術を活用した概念ですが、異なるアプローチと目的を持っています。

物理的な対応物をモデル化

デジタルツインは、現実世界の物体やプロセスをデジタルで模倣するものです。例えば、工場の機械、建物、自動車などの物理的なものをデジタルで再現します。

リアルタイムデータと連携

センサーやデバイスを通じて収集されるリアルタイムのデータと連携し、物体やプロセスの状態をリアルタイムで反映させます。これにより、監視、予測、最適化が可能です。

仮想のデジタル世界

メタバースは、完全に仮想のデジタル世界を指します。これは現実世界とは異なり、ユーザーがデジタルキャラクターとして参加し、相互作用する仮想空間です。

社会的な目的

メタバースは、ソーシャルメディアやオンラインゲームの進化版のようなもので、人々が交流し、コミュニケーションを取り、ビジネスやエンターテインメントを楽しむ場所として構築されます。

仮想の自己表現

メタバースでは、ユーザーは仮想のアバターやキャラクターを通じて自己表現し、仮想空間内で様々な活動を行います。

簡単に言えば、デジタルツインは現実のものをデジタルでコピーし、監視・管理するための技術であり、主に産業分野で活躍。一方、メタバースは仮想のデジタル世界で社会的な活動やエンターテインメントを楽しむためのプラットフォームであり、主にソーシャル・エンターテインメントの領域に焦点を当てています。


ブロックチェーンとは?

ブロックチェーン(Blockchain)は、デジタル情報を安全かつ透明に記録および管理するための分散型デジタル台帳技術で、特徴は以下のとおりです。

分散型台帳

ブロックチェーンは、中央管理者が存在せず、ネットワーク上の複数のコンピューターがデータベースのコピーを所有し、それらのコピーが分散している台帳です。この分散性により、情報が単一の場所に依存しないため、セキュリティと信頼性が向上します。

ブロック

データはブロックと呼ばれる小さなチャンクにまとめられ、ブロックには複数の取引や情報が含まれます。新しい情報が追加されるたびに、新しいブロックを作成。各ブロックは、前のブロックの情報を含む特定の構造を持っています。これにより、データが一貫性を保ち、変更が検出しやすいのが特徴です。

分散型台帳技術

中央機関や信頼された第三者の介入なしに、信頼性のあるトランザクションを可能にします。これは特に金融取引や契約の自動化など、信頼性が重要な場面で有用です。

暗号化

強力な暗号技術を使用して情報を保護します。情報はプライベートキーとパブリックキーを使用して暗号化・復号化され、認証。データの安全性が確保されます。

透明性

すべてのトランザクションが分散台帳に記録されるため、ネットワーク上のすべての参加者が確認できる透明性の高さもポイントです。この透明性は不正や詐欺を防ぐのに役立ちます。

スマートコントラクト

ブロックチェーン上にはスマートコントラクトと呼ばれるプログラムを執行する機能があります。これらのコントラクトは契約条件を自動的に実行し、トランザクションを自動化します。

ブロックチェーン技術は、主に仮想通貨から始まった技術ですが、近年ではさまざまな分野で活躍。金融、サプライチェーン管理、不動産、医療、選挙など、信頼性や透明性が必要な多くの分野でブロックチェーンが革命をもたらしています。


ブロックチェーンとNFTの関係

ブロックチェーンとNFT(非代替性トークン)の関係は、デジタル資産の管理と取引に革命をもたらす重要な要素です。ブロックチェーンは、データを分散型台帳に記録し、改ざんを困難にする技術で、NFTはこのブロックチェーン上でデジタル資産を表すためのトークンです。

NFTは、デジタルアート、音楽、ゲームアイテムなど、さまざまなデジタルコンテンツを一意に識別し、所有権を証明するのに使用されます。ブロックチェーン上のNFTは、それぞれのデジタルアセットの履歴と所有者情報を永続的に保存。アーティストやコンテンツクリエイターは、作品をデジタルで販売し、購入者に所有権を移転できます。この取引は透明かつ信頼性が高く、詐欺や複製を防げるのが大きな魅力です。


デジタルツインとブロックチェーン

不動産のデジタルツインにおけるブロックチェーンの重要性は、信頼性、セキュリティ、効率性の向上に関連。さらに現実世界の不動産と同様に、デジタル空間でも唯一無二の存在であることを証明します。

■所有権の確実性

ブロックチェーンは、不動産のデジタルツインにおいて、所有権の記録と確認に役立ちます。土地や不動産の所有権情報は不正改ざんや詐欺から守る必要があり、ブロックチェーンによってそのようなリスクを軽減。各不動産に関する情報はブロックチェーン上で暗号化され、一度記録された情報は変更が難しくなります。

■スマートコントラクトの利用

ブロックチェーンに組み込まれたスマートコントラクトは、不動産取引を自動化し、契約条件の遵守を確保します。例えば、不動産の購入時に支払いが完了し、法的手続きが完了した場合に自動的に所有権が移転するなど、取引プロセスの迅速かつ効率化が実現します。

■不動産の履歴とトランザクションの透明性

不動産の履歴とトランザクションの透明性を提供。どのユーザーが不動産の所有権を持っているか、いつ所有権が移転したか、どのような変更があったかなどの情報がブロックチェーン上で確認できるため、信頼性が向上します。

■セキュリティ

不動産は非常に高額な資産であるため、不正アクセスや詐欺からの保護が不可欠です。ブロックチェーンは、強力な暗号化技術と分散型の性質により、不動産のセキュリティを向上。不正アクセスが難しく、改ざんが検出されやすくなります。

■取引コストの削減

従来の不動産取引は多くの中間業者や手続きを必要とし、高い取引コストを伴います。ブロックチェーンを活用することで、取引コストを削減し、効率を向上させることができます。

ブロックチェーンを不動産のデジタルツインに統合することで、不動産業界はより効率的で透明性のある市場を構築。取引の信頼性とセキュリティを大きく向上させ、不動産業界に大きな変革をもたらします。


まとめ

現実世界の不動産登記と紐づいていないデジタルツインの不動産はいくらでもコピーができてしまうため、なんの価値もないと言っても過言ではありません。そのため、デジタル空間で不動産ビジネスを展開するには、デジタルツイン+ブロックチェーンという組み合わせは不可欠となります。

デジタルツイン+ブロックチェーンこそが皆様の不動産に新たな価値を生み出す「デジタルツイン不動産」です。PRESIでは、デジタルツインが大きな話題となる前からブロックチェーンを活用した業務を行って参りました。これまで培ってきた経験とノウハウ、数々の実績をもって皆様の資産価値の向上に邁進します。